ぼくがパソコンを触るようになったのは、BASIC(ベーシック)とか、C(シー)などのプログラミングが最初でした。シェルやバッチファイルを駆使していた・・・「駆使」というと聞こえはいいんですが、コマンドプロンプト(黒い画面にカタカタと入力する)が操作できないとパソコンが使えないという時代でした。そういう時代に、まったくパソコンの知識のない者(ぼく)が、全国規模の大手会社と取引があり、その取引を含んだ会社の「在庫管理」システムを任されてしまいました。バブル崩壊後の不景気なときで、システムを管理していた会社がどういう事情だったのかは知りませんが、手を離れてしまったという、ありがちなシチュエーションでした。
それからというもの、厚さが20センチはありそうな、ページ数にして千ページはありそうな分厚いマニュアルと格闘する毎日が始まりました。当時は「ラップトップ」と呼ばれていた「ノート」とは言いづらい、持ち運び用の白黒画面のパソコンを自宅に持って帰ってもいいという条件で、それに喜びを感じていた30代でした。結果、仕事を家に持ち帰ることになったし、その分の給料は「手当」という名目の僅かな金額のほかは、支払われることはありません。でも、当時はそのことに疑問を抱くこともなく、日々嬉々としてプログラムと格闘していました。
それは、BASICやCではなく、dBASE(ディーベース)をもとにつくられたdBXL(ディービーエクスエル)というデータベース言語でした。単にデータベースの設計だけでなく、入出力のインターフェースも一から作らなくてはならなかったので、プログラムをプリントアウトしては、チェックしてファイルするという、たいへんアナログな環境での作業でした。
最初からプログラムが得意だったかというと、そうではありませんでした。BASICやCを独学でやっていたころは、誰にも内緒で情報処理の試験を受けては落ちていました。COBOLやFORTRANなども就職活動に必要かもしれないと勉強していたけれど、役に立つことは一度もありませんでした。
ここまでの文章は、同じような境遇にあった人にとっては、うんうんとうなずける内容だったかも知れませんが、現代の人にはちんぷんかんぷんな内容でしょう。Windows95が登場する1995年12月が大きなターニングポイントでしょう。スマホ世代となると2010年以降になります。